松阪牛
 
美味しく食べよう
美味しさはどうしてわかるか(沖谷明紘編「肉の科学」〈朝倉書店〉から抜粋)
牛肉を選定する基準は、現在は「霜降り(脂肪交雑。サシとも言います)」による見た目の格付け評価が中心で、消費者は肉の外見で選ぶしかありません。そこで松阪牛協議会は、一歩踏み込んで松阪牛、特に特産松阪牛の美味しさを旨味や口溶けなどに分析評価して、松阪肉を消費者の好みに合わせて美味しさで選べるよう研究に取り組んでいます。
牛の枝肉の写真
牛の枝肉。これをもとに格付けが行なわれます。
(社団法人日本食肉格付協会)

○美味しいものを食べる意義
・生命維持のための、食べたいという本能的なもの。
・食べることで人生を楽しくさせる文化的なもの。

○食肉の美味しさを構成する要素

@食べる前に視覚で認識するもの(見た目での判断)
形状:次の3点があります。いずれも食肉の格付け評価の項目です。

きめ 筋肉の繊維が伸びている方向と直角に切ったときの切り口で見ます。同じ品種で同じ肉の同じ位置で比べた場合に、きめが細かいほど肉質は柔らかくて美味しいとされます。
サシ 霜降りあるいは脂肪交雑のことです。脂肪組織が筋肉全体によく分散していることを、「赤身との脂肪交雑が良好である」と言います。
締まり 肉の切り口が、水分が浮いたようになっておらず、赤身と脂肪がしっかり詰まったようになっているのが、よく締まった状態です。

色:食肉の品質で評価されるのは赤身の色と脂肪の色です。赤身の色は、筋肉に含まれるミオグロビンのために赤く見えます。脂肪は、純粋なものは白色ですが、飼料に含まれるカロチノイド系色素(ニンジンをはじめ、多くの野菜や草に含まれています)が溶け込んで沈着するので、肉の中の脂肪は黄色味がかかった色になります。

光沢:肉のつやのことです。


牛脂肪交雑基準(B.M.S)


牛肉色基準(B.C.S)


牛脂肪交雑基準(B.M.S)

牛肉の脂肪交雑基準例です。左上から右下に進むにつれて
脂肪交雑が増えていき、等級が上がります。
(社団法人日本食肉格付協会)

A食べて認識できるもの
味:次の4点があります

甘味 エネルギーを供給する糖質のサイン。
旨味 摂取すべきたんぱく質を含む物質のサインです。たんぱく質自体は無味ですが、それを含む細胞内には遊離アミノ酸が存在し、そのうちのグルタミン酸やアスパラギン酸が旨味のもとになると考えられます。
肉様の味 どのような成分によって生ずるかは完全にはわかっていませんが、グルタミン酸とイノシン酸の作用は間違いないと言われます。
こく 濃厚感・広がり・持続性・まろやかさなどが構成要素として上げられていますが、まだよくわからない部分です。

香り:美味しさを決める要素の中で、香りの果たす役割は大きくなっています。風邪などで鼻がつまって香りがわからないと食事が味気なく感じることがあり、これは食品の香りを識別できないためで、香りが美味しさの重要な要素であることがわかります。食肉の香りには次のものがあります。

生鮮香気 生肉の香りです。
加熱香気 肉を煮た時の「ボイル肉香気」と、焼いた時の「ロースト肉香気」があります。他にも牛・豚など動物の種類を判別できる「動物特異臭」、雄と雌を区別できる「性臭」、飼料に由来する「飼料臭」がありますが、著しいものではありません。
熟成香気 熟成とは、と畜直後の硬直が解けて柔らかくなることで、味や香りが向上します。多くの牛は、と畜後10〜14日で市販されますが、和牛には1〜2ヶ月かけて美味しさを充分発現させるものもあります。
和牛香 霜降り肉である黒毛和牛の美味しさは、特有の甘くて脂っぽい「和牛香」と呼ばれるものが主な要因であることが明らかになりました。輸入牛肉にはなく、日本人が和牛肉を好む理由の一つに挙げられます。

食感:歯ごたえと舌ざわりがあります。

歯ごたえ 歯で噛んだときに感じられる「硬さ」・「柔らかさ」・「弾力性」・「もろさ」などです。
舌ざわり 舌や口の中で感じる接触感覚で、「滑らか」・「ざらざら」・「ねばねば」・「みずみずしい、ジューシー」などがあります。

温度:同じ肉でも、熱いもの、冷えたものにより味の違いを感じます。

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